医大生の勉強は忘却との闘い
今回は医学部での勉強について少し取り上げてみます。
みなさんは、医学部の勉強についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
覚えることが多い、
難しそう、
など色々だと思います。
私自身は入学前は、医学部は入るのが難しいので、当然学ぶ内容も非常に高度なんだろうな~というなんとなくの印象を持っていました。
確かに、低学年の頃に学んだ基礎医学(生理学、生化学、免疫学、薬理学、病理学)などは非常に高度な内容でした。
しかし、高学年になり臨床医学の勉強が進むにつれて抱くようになった印象は、圧倒的に
「覚える量が多い( ;∀;)」
というものです。
特にこと医師国家試験の勉強に関しては、頭の良さよりも暗記力が問われる試験なのだなーと日々痛感しております( ;∀;)
過去には「2020年に、わずか73日で医学知識が倍になる!」なんて論文も出ているようで、本当になみだ、なみだですね💦(もちろん、人の命を預かる仕事なので、最低限の知識は覚えないといけないのは理解しているのですが、二ヶ月で2倍はさすがに厳しいですね(;'∀'))
1950年時点で,医学知識が倍になるには,50年かかっていたそうだ(doubling time)。1980年にはこれが7年になり,2010年には3.5年になっている。東京オリンピックが開催される予定の2020年には,なんとたったの73日で医学知識は倍になると見積もられている。2か月ちょっとで倍になってしまうのだ。
医学生が苦しむ暗記の例を挙げますと・・・
世界3大感染症の一つにエイズ(AIDS)という疾患があります。
エイズは、HIVというウイルスに感染し、そのウイルスが感染した人間の免疫力を低下させることで発症する状態を指します。正式名称は後天性免疫不全症候群ですね。
このエイズになると、免疫機能が低下するので、元気な時にはかからないような様々な病原体に感染します。(これを日和見感染〔ひよりみかんせん〕といいます。)
例えば、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症などなどたくさんあります。
これらの疾患をまとめてAIDS指標疾患といいます。
この指標疾患が実は大量にあるのですが、以下に厚生労働省のサイトから引用します!(が、多すぎるのでさらっと読み飛ばしてください(笑)
指標疾患(Indicator Disease)
A.真菌症
1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
2.クリプトコッカス症(肺以外)
3.コクシジオイデス症
(1)全身に播種したもの
(2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
4.ヒストプラズマ症
(1)全身に播種したもの
(2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
5.ニューモシスティス肺炎
(注)P. cariniiの分類名がP. jiroveciに変更になったB.原虫症
6.トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)
7.クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
C.細菌感染症
9.化膿性細菌感染症(13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、2つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの)
(1)敗血症
(2)肺炎
(3)髄膜炎
(4)骨関節炎
(5)中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍
10.サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核(肺結核又は肺外結核)(※)
12.非結核性抗酸菌症
(1)全身に播種したもの
(2)肺、皮膚、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
D.ウイルス感染症
13.サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外)
14.単純ヘルペスウイルス感染症
(1)1か月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの
(2)生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの
15.進行性多巣性白質脳症
E.腫瘍
16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頚癌(※)
F.その他
20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)
22.HIV脳症(認知症又は亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)
細かい分類は除いて、なんと23疾患もあります( ;∀;)
しかも、この指標疾患を聞く問題が過去に国家試験で出題されております。。。。
第108回 医師国家試験I27
後天性免疫不全症候群〈AIDS〉の併発疾患でないのはどれか。
a サイトメガロウイルス感染症
b ニューモシスチス肺炎
c 口腔内カンジダ症
d 悪性リンパ腫
e プリオン病
正解は、上の一覧にない「e プリオン病」なのですが、こんなんいちいち覚えてられるか~!って量ですよね。
医学生もやっぱりゴロに頼る!
ということで、自分を含め、多くの医学生は語呂合わせに頼って覚えています。
古くは「泣くよウグイス、平安京」などゴロにお世話になった方も多いのではないでしょうか?
医学のゴロで言いますと、例えば今回のAIDS指標疾患であれば、次のようなゴロがあります。
サイトで カン ニングして 死刑。 入試の 結果は 非公開。
①サイトで →サイトメガロウイルス
②カン →カンジダ症
③ニングして →カポジ肉腫
④死刑。 →子宮頸癌
⑤入試の →ニューモシスチス肺炎
⑥結果は →結核
⑦非公開。 →非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)
このゴロで、上記の指標疾患のうち代表的なものを7つは覚えれます。
さらに、赤字で示したのは先程の過去問に出ている疾患なので、ちゃんと23疾患のうち出そうな7つを覚えられるように工夫されているゴロなので個人的には重宝しています。
ちなみに、近年は医学のゴロをまとめた医ンプット | 医療系学生の暗記サポートという、全国の医療系学生の「選りすぐりのゴロ」まとめサイトがあります。(先程のゴロも医ンプットから引用させていただきました!)
優秀な人ほど、ゴロをうまく活用している!?
「医学生=頭が良い」という印象を頂いている方が多いかもしれませんが、個人的なこれまでの医学部生活の経験上、いわゆるサヴァン症候群のように一度見ただけで全部覚えられるという方は少数で、ほとんどは世間一般の方とそこまで記憶力は変らない印象です。
ただ、周りの優秀な同級生を見ていて思うのはとかく「要領が良い」ということです!
つまり、覚えるべき内容や理解すべき内容を最小限にとどめています。
具体的には、
- 法則性を見つけて覚える量を減らす
- テストに出そうな所に絞る
- 単純暗記の内容はゴロに頼る
などです。
たまに「ゴロに頼るなんて姑息な」という意見もありますが、医学はどうしても丸暗記せざるを得ない内容があります。
先程のAIDS指標疾患もそうですし、心電図を測定するときのパッドは左から「赤色→黄色→緑色→茶色→黒色→紫色」の色の順に貼るなんて、単純記憶以外の何物でもないですよね(笑)
ちなみに、心電図のパッドの色順に関しては伝統的に
あきみちゃん国試(「あ(赤)き(黄)み(緑)ちゃ(茶)こく(黒)し(紫)」
というものがあります。
このゴロは医療者の方はほとんど知っているのではないか!?くらい有名なものです。
こんな感じで、医学部の勉強はゴロに助けてもらう機会が結構多いのが実情です。
医学語呂コンテストに応募しました!
ということで、自分も優秀な方に倣って、ゴロを作ってみることにしました!
【〈みんコレ!×テコプラ〉共同プレゼンツ】
— みんなの医師国家試験対策! (@minkore_PR) December 24, 2020
みんなの医学に関する語呂合わせを教え合おう!
2020年冬「みんゴロ」コンテスト開催✨
医学生審査員も同時募集!
各応募方法は画像を✅
※応募資格:医学生(語呂に限り”研修医”も応募OK)
※「みんゴロ」と審査員の同時応募OK
※リプライもご一読下さい pic.twitter.com/vTpl0VbxNN
「みんなの医師国家試験対策」という医学情報を提供してくれる会社が、「ゴロコンテスト」 を開催しており、正月休みと重なったので先週末に応募しました!
ゴロ以外に、わかりやすい覚え方もOKとのことなので、がんばって3つ絞りだしました。(医学部生以外には全く意味のない呪文ですが、一応イラストも作成したので掲載させていただきます!)
いずれにせよ、来週火曜日に準決勝に残った作品が発表されるので、またそこに残れていたら報告したいと思います!!!
その1:悪性リンパ腫という病気の症状の覚え方
その2:悪性脊髄連合変性症という病気で障害される部位の覚え方
その3:陽性尤度比という計算式の覚え方
ゴロを作るのも勉強の楽しみ!?
最初に話を戻しますと、医学部の勉強はとにかく暗記量が多いです。
なので、基本は日々、「覚える→忘れる→また覚える」の無限ループを心の中で泣きながら繰り返している学生がほとんどだと思います。
ただ、単純暗記ばかりは、つらいので「ゴロ合わせ」を作るというのも、一部の医大生にとっては楽しみなのかなーと思います!
やっぱり、何事も楽しみながらやった方が覚えますしね!(^^)!
ということで、引き続き毎日コツコツ勉強しつつゴロ作りにいそしみたいと思います!
またゴロコンテストも結果がわかれば共有したいと思います!
以上、長文お付き合いありがとうございました!
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